2014年3月12日

特定国立研究開発法人 (の候補?) が決まったという報道について

政府が現在検討している国立研究開発法人制度では、国立研究開発法人 (仮称) の中でも特に優れた研究機関を特定国立研究開発法人 (仮称) に指定し、これまでより高額の給与を支給できるようにするなどの措置を取る方針である。これに関して、 3 月 12 日の第 118 回総合科学技術会議で理化学研究所 (理研) と産業技術総合研究所 (産総研) を特定国立研究開発法人の候補とすることが決まったそうだ。
この報道で引っかかる点が二つあるのでメモしておく。国立研究開発法人制度について僕は何か知っているわけではなく、このブログ記事も調べながら書いているだけので、何かを完全に誤解している可能性もある。

一つめは、毎日新聞だけ報道内容が大きく違うこと。毎日新聞の書き方は、産総研は正式に特定国立研究開発法人に決定し、理研は候補止まりで正式決定が先送りされたとしか読めないけれど、理研と産総研で扱いが違ったという報道は毎日新聞のほかには見つからない。 3 月 13 日追記: STAP 騒動で予算パー 理研「特定法人化」の大誤算 (日刊ゲンダイ 3 月 13 日付記事) も毎日新聞と同じ書き方だった。

二つめは、 3 月 5 日の関係閣僚会議の時の報道との整合性。日本経済新聞の記事とウォール・ストリート・ジャーナル経由時事通信の記事には特定国立研究開発法人の候補に選んだと書かれているが、日本経済新聞の 3 月 5 日付記事「研究開発法人に理研と産総研指定 4閣僚が合意」によれば、 12 日の総合科学技術会議で「正式に決定する」予定ではなかったのか。今までなかった「候補」という言葉が今になって出てきたのだとしたら、そこには何か意味があると考えるべきだと思うが、そのことを指摘する報道には、上述の問題のある毎日新聞の記事を除いて気付かなかった。理研を中心とする研究グループによる STAP 細胞の論文の疑惑を巡る状況が日々変化しているので、予定と違うことをすることになった可能性はあると思う (ただし、 3 月 11 日に谷村文科相は、この疑惑が理研の特定国立研究開発法人への指定に与える影響は「まったくない」と発言していたが。神戸新聞 3 月 11 日付記事「下村文科相『再度出すことを期待』 STAP 細胞論文」)。